第19章 それでも進む
いきなり出てきた脹相も私たちと一緒に行くことになり、九十九さんという特級術師に会いに行く。
憂太や悟……もう1人の特級。
私は名前しか聞いたことがない。
「あ、ごめん。ちょっとだけ時間くれないかな?色々あって、千景がまだ回復してないんだよね。いい?」
みんなが頷き、憂太は「おいで」と私の名前を呼ぶ。
密着しているにも関わらず、おいでと言われて、どうしていいかわからなくなった。
憂太を見つめると向き合うように抱えられ、焚き火の明かりが届かない闇の中に消えていく。
みんなから少し離れたところで膝をついた憂太。
探るように手を滑らせ、頬に辿り着く。
そのまま憂太の頬が私の頬に触れた。
「震えは治まったみたいだけど……いっぱい甘えていいよ」
「……憂太ぁ」
耳元で優しく囁かれて、我慢は出来なくなった。
必死に憂太にしがみついて、何度も名前を呼ぶ。
全部みんなに聞こえてるなんて、思ってもみなかった。
「憂太、好き……あのね、ごめんね。憂太だって、嫌なのに、私ばっかりこんな……」
耳元でクスクスと聞こえる。
息がかかって、擽ったい。
「うん、僕は大丈夫だよ。千景が甘えてくれるの、すっごい嬉しいしね。……大好きだよ」
髪に触れて頬に辿り着く。
両手で憂太の頬を包み、そのまま唇を重ねた。
甘く優しい時間が過ぎていく。