第18章 おかえり
――あったかい……。
微睡みの中、ゆっくり目を開ける。
目の前には黒が広がっていた。
まだ夜なのかと思い、そのままその黒に抱きついて目を瞑る。
すると、クスクスと息が漏れる音が聞こえ、髪を撫でられる感触。
「おはよ、千景」
――まだ夢の中だ。
憂太の声が聞こえる。
今は渋谷で、憂太がいるはずない。
――そうだ。渋谷……。
ガバッと起き上がり、周りを見渡す。
寮の私の部屋だった。
髪を軽く寄せながら頬を撫でられる。
下を向くと、ずっと恋焦がれていた憂太がいる。
何故自分がここにいるのか、憂太がいるのか、何もわからない。
でも、幸せに沈むように、憂太の胸に乗った。
頬を押し付け、目を瞑る。
憂太の鼓動が聞こえていた。