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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第17章 渋谷事変


拳の速さに気圧されながら、影を伸ばす。
――このままだと、猪野さんが死んじゃう。

すると孫は猪野さんをビルから投げ落とした。
孫に向けて伸ばしていた影を咄嗟に猪野さんに伸ばし、すぐに駆け出す。
――この高さから落ちたら……死ぬ。
猪野さんはもう、意識がないだろう。

だけど、私の影も足も、猪野さんには届かなかった。

「猪野さあぁあん!!」

落ちていく猪野さんを見ていると、何かが近づいていく。
恵の鵺。
鵺は猪野さんに当たり軌道を変え、悠仁が受け止めた。

遠すぎて目を凝らして見ていたから、定かではない。
でもきっと……猪野さんは助かった。

立ち上がって振り向く。
帳が上がっていった。
――恵と悠仁、やってくれたんだ。

孫とおばあさんは話していたが、孫の様子が変だ。
また、雰囲気が変わった。

「誰に命令してんだ。ババア」

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