第17章 渋谷事変
帳があるところに移動して、悠仁が帳を殴った。
波打つように帳が動いて、また元に戻る。
「ダメだ、ビクともしねぇ」
猪野さんは「まあまあ」と言いながら相当驚いているようだ。
悠仁の身体能力や力は、並の人間ではない。
低級呪霊を倒しながら会話をする。
術者はリスクを負いつつも、帳の強度を上げる為、帳の外にいる可能性がある。
目立つところを探そうと辺りを見渡すと、すぐに見つけた。
目立つのだから、そりゃあすぐに見つかるわけだ。
恵は鵺を出し、悠仁は細いワイヤーを手首につけたリングから出す。
高いビルの屋上には3人いて、悠仁はまとめてワイヤーで巻き付けた。
猪野さんが杭を壊し、悠仁はおじさんをワイヤーでビルから引き摺り落とす。
私は猪野さんと共に、屋上で2人の呪詛師と対峙した。
おばあさんと若い男。
どうやらあの男はおばあさんの孫のようだ。
「可愛い後輩も出来たことだし……ここいらで活躍して、ぼちぼち俺も――1級術師になっちゃうぞ」
猪野さんは被っていた帽子を伸ばし、目出し帽のように顔まで被った。
「私も……1級術師――なります!」
――憂太に、追いつきたい。
あの悟を助けられるだけの力が欲しい。
私ひとりじゃ出来ないかもしれない。
でも……私もその中に立っていたい。