第17章 渋谷事変
悠仁がいる建物の屋上に登り、未だに七海さんを大声で呼んでいる悠仁に声をかける。
恵が何度も声をかけても、自身の声で聞こえていないようだ。
声での制止を諦め、悠仁の頭にチョップを食らわす恵。
その後、5人でメカ丸の話を聞いていた。
既にメカ丸は亡くなっており、"五条悟封印後に発動する保険"で、小さなインカムのようなもので話している。
メカ丸の話によると、"夏油傑の裏にいる何者か"が渋谷駅構内に特級やその他の呪霊、夏油の息がかかった呪詛師を集めているようだ。
それに、改造人間と一般人。
――いったい悟は、どれだけのものと戦っていたの?
そして、メカ丸の"保険"が発動していることで、悟の封印は逃れることの出来ない事実となった。
「1級でしか通らない要請が幾つかある。外に出て、伊知地くんとそれらを全て済ませて来ます」
私たちはその間に、術師を入れない帳を解くことになった。
今渋谷は、幾つもの帳が降ろされている。
「猪野くん。3人を頼みます」
七海さんは指示を終えると行ってしまった。
その後すぐに着信音が鳴り、表示された文字を見て首を傾げる。
――憂太?
憂太もこのことを知っていて、何か話があるのかと思い、3人に断って電話に出る。
「千景?ごめん、こんな時に……今ダメだったら切って」
「ううん、大丈夫。何かあった?」
憂太はただ、「気をつけてね」と言って電話を切った。
――え、それだけ?
通話時間は1分にも満たなかった。
だがそれだけでも、沈んでいた心を掬い上げ、戦う勇気をくれた。
必ず、悟を助ける。