第13章 平行世界
シャッターの開閉音が響いたのだ。
不思議に思ったのだろう。中から男が出てきた。
「!?」
男は敦とアリスに気付き、アリスを見て、驚いた表情をする。
その顔を見て、アリスが口を開いた。
「貴方が私を此処に連れてきたお兄さん?」
「な、なんのことかな?」
男はとぼけた。
しかし、その作戦はアリスにとって仇となる行為。
「虎のお兄ちゃん。正解みたい」
「良かった!見つかったね!」
アリスの言葉に喜ぶ敦と困惑する男。
「なっ!?何故確信が持てる!?証拠は!?」
「貴方が異世界に人を飛ばせるように、私は人の嘘を確実に見抜ける異能力者なんだよ」
「!?」
アリスの言葉に目を見開く。
そのスキをアリスは見逃さなかった。
「虎のお兄ちゃん」
「うん!」
アリスの合図と共に、地面を蹴る敦。
男がハッとした様子で逃げようとしたときにはアッサリと敦に確保されたのだった。
多少の抵抗をみせたが、敦の拘束が解けないとわかると、大人しくなる男。
そんな男にアリスは近付き、問うた。
「私、元の世界に帰りたいんだけど」
「出来ない、と云ったら?」
「私、先刻も云ったと思うけど嘘は100%見抜けるけど」
「あ、そうだった…」
男がガクッと項垂れる。
男の話によれば、
対象を、とある世界線の人間と入れ替えることが出来るとのことだった。
それは、入れ替わってもあまり遜色ない世界線らしく、違和感なく過ごせる様だ、と説明し始めた。
「確かに、持ってる異能やら見た目やら同じみたいだけど…如何してそんなこと分かるの?」
「家出に協力してるんだ。ちゃんと家出したい子供達から色々な話を聞くよ。入れ替えた後に現れた子達にもきちんと話を聞いている。それで分かったことは、入れ替えた先ーーー詰まり君のいる世界と此方の世界は共通点が多いみたいなんだ。此方の方が家出したいと思っていたら、向こうも同じ状況の事が殆どで…」
「私は別に同じ状況だった訳じゃ………あ。」
「?」
アリスに思い当たる節がある。
「私は中也の帰りを待ってた。此方の私も治兄の到着を待ってた訳だ」
「偶然が重なっちゃったってことだね」
「そうなるね」
敦の言葉にアリスは頷く。