第13章 平行世界
〇〇公園に着いた2人は周囲を探す動作をするが、目的の人物はすぐに見つかった。
太宰はアリスの方を見ると、溜息をついて云った。
「矢張りそういう事か」
「手前、何か知ってやがるな?」
「『触れた者を異世界に飛ばす異能力者』でしょ?」
「話が早えな、おい」
中也が眉間にシワを寄せてぼやく。
「残念乍ら此方側の彼は5年ほど前に既に死亡している」
「「!」」
太宰の言葉に目を見開く2人。
「手前が関わっていた事は覚えていたが、真逆死んでるとは」
「詳しくは話せないけれど、二度と同じ事を繰り返さない為に始末した」
「益々判らねェ」
「これ以上は答える心算はないよ。結論だけで充分だろう?」
「確かにな」
中也は舌打ちしつつも、それ以上は追求しなかった。
太宰は異世界の自分から情報を引き継げる。
そして、異世界は時間軸がズレている事もあるのだ。
5年ほど此方の年代のスタートが遅かったのだろう。
太宰が未だマフィアに所属していた頃に向こう側でこの事件が発生し、それを憂いだ太宰が此方側の太宰に情報を渡して、二度と同じことが起こらないように此方側の異能者を始末させた、というのが事の顛末だ。
つまり、同じ年代に飛ばされているように見えるが、此方側と阿方側には5年程のタイムラグが生じている。
そんな話は、中也たちには関係なかった。
太宰の云う通り、此方側の異能者はもう存在しない、この事実だけで充分なのだから。
「そんな…」
落ち込むアリス。何と声を掛ければいいか考えている中也より先に太宰が口を開いた。
「そう心配しなくても君は間もなく元の世界に戻れるよ」
「!」
太宰の言葉にアリスが顔を上げる。
「何を根拠に?」
「阿方側の異能者は健在だし、私の人間失格とアリスのワンダーランドがある。そう長く逃走できるわけがないだろう?」
「そっか…」
少し安堵したアリスの頭を、太宰は優しく撫でてやる。
その行為に驚きつつも、少し悲しい表情をするアリス。
「待っていればいい。そう時間は掛からないし、二度とこんな目に合うことはないよ」
「うん、有難う治」
「うふふ、どういたしまして」
二人のやり取りを見て、中也は息を吐いた。
待つしかできないことに憤りつつも、最愛の人を信じて待つのだった。