第13章 平行世界
「家出少年の捜査依頼?」
「そう。家出を斡旋している男が浮上して話を聞こうとしたんだけど」
アリスは、出された紅茶を啜りながら眼の前に座る中也に状況を説明していた。
「何で手前が情報収集だけに留まらずに探偵じみた事やってんだよ」
「私、武装探偵社の社員だから」
「……成程な」
中也は少し考えて、返事した。
「アリスは青鯖に一緒に武装探偵社へ行くことを誘われたと云っていたが、手前は『その誘いに乗ったアリス』ってことか」
「まぁ、武装探偵社社員になるまでは紆余曲折あったけど…治と一緒にいることを決めたのは間違いないね」
「名前で呼び合う仲なのかよ」
「一応、恋人だから」
「恋人ねェ。まあ彼奴に執着されりゃ、その可能性もあるのか」
「此方の私は武装探偵社社員じゃないの?」
「見ての通り、ポートマフィアに所属してんな」
「マフィアか」
アリスはふむ、考える。
「じゃあ治ともそんなに会ってないってことか」
「会う必要がねえからな」
「と云いますと?」
「結婚してるから青鯖に会う理由が無ェ」
「け、結婚!?此方の私、もう結婚してるの!?」
「おう」
「誰と!?」
「俺と」
「中也兄と!」
アリスは驚きを隠せないが、少し考える。
「でも納得かも。中也兄、私に優しいし」
「なら何で手前は青鯖なんか選ぶかね?」
「本当に何でだろうね」
哀れんだ目を向けて云う中也に、アリスは苦笑しながら答えた。
「でも今が一番幸せ」
「そうかよ」
アリスの言葉に中也は笑った。
「問題は元の世界に戻る方法か」
「私を飛ばした異能力者は向こうだから此方で出来ることあるかな?」
「無いかもしれねえな……取り敢えず青鯖の所に行ってみるか?」
「治の所か。でも無効化出来なかったとき……悲しい」
「じゃあ止めとくか?」
「…そうしたら私如何したらいい?」
アリスは泣きそうな顔で困ったように中也に問う。
「別に此処に居たらいいだろ?」
「いいの?」
「手前がそれでいいなら俺は構わないぜ」
「有難う中也兄」
ホッとした顔をするアリスに、中也も安堵の息を吐いた。