第12章 居場所
ポートマフィア本部、首領室ーーー
「首領、中原です」
叩敲をしてそう告げると直ぐに返事があった。
入室の許可が出たため、中也とアリスは中に這入る。
「やあ中也君。おや、アリスちゃんも一緒か」
笑顔で2人を迎える首領、森鷗外。
「何かあったんだね?」
その問いに、中也はアリスをチラリとみた。
アリスは中也より一歩前に出て口を開いた。
「首領、○✕って組織を破壊したいの。駄目かな?」
「ほう。それはまた急だね」
あまり驚かずに応じる森。
「して、その理由は?」
「○✕はね、子供を拐ってお金を稼いでて。その子供たちは実験材料になってるの」
「……続けて」
「かつて私がされていた『異能力開発実験』に加担してるみたいなの」
「……。」
森の顔付きが真剣なものになる。
「ここで阻止しなきゃ……また子供が犠牲になっちゃう」
アリスは俯き、泣きそうな声で云った。
森は中也と目を合わせる。
中也は、アリスの頭を優しく撫で始めた。
「その話もう少し詳しく話せるかな?」
森は優しい声音でアリスに問うた。
その言葉を聞いて、アリスはコクリと頷く。
アリスは、
かつて「異能力開発実験」なるものを受けていたことを始め、
その実験場を壊滅させて逃走したこと、
その実験に関わった人物を皆殺しにしたこと、
その際に実験の内容を記したメモが1つだけ残ってしまったこと、
そのメモが誰かの手に渡ってしまったこと、
そのメモをずっと探し回っていたことを手短に説明した。
森も中也も黙って聞いている。
「そのメモっていうのが、主犯だった△▽が当時愛用していた手帳なの」
「△▽と云えば8年程前に亡くなった議員のことかな?」
「うん。不慮の事故なんて云われているけど本当は私が殺したの。その時に、実験は引き継いだって云ってて……」
「それでそれを探し続けていたのか」
中也の言葉にうん、と頷く。
「その手帳は議員の▲▼……△▽の弟の手に渡ってしまっていることが判ったの」
「確かな情報なのかい?」
「うん。同じ議員の⊿⊿が吐いたから間違いないよ」
「⊿⊿は金に物を云わせて悪事に加担している事で有名だものねえ」
「もうこの世には居ないけどね」
「「!」」
驚きの顔をする2人。