第12章 居場所
アリスは中也の執務室に戻ってきていた。
扉を繋げた先が執務室だった、というのが正しい。
「帰ったか」
中也は、仕事していた手を止めてアリスの傍に寄ってきた。
「何もされてねえだろうな?」
「▲▼に遅れを取るほど弱くないよ」
「▲▼にじゃねえ、糞鯖にだ」
「そっち!?」
ペタペタとアリスの身体に触れる中也。
「それこそ何もされてないよ」
「……本当だな?」
「強いて云うなら、結婚祝いを貰ったよ」
「はァ!?素直に受け取ったのかよ!」
「▲▼の死だもん。受け取らざるを得なかっんだよ!」
アリスの言葉に盛大に舌打ちする中也。
その顔を見て、アリスはクスクスと笑った。
「……手に入れられたようだな」
「うん……複製も無いと云ってた。本当にこれで最期だよ」
アリスは中也からライターを借りると、手に持っていた手帳を燃やし始めた。
消し炭になった手帳。
「私、此れのために情報屋やってきたけど…今から何すればいいんだろう」
それを見て、アリスはポツリと呟いた。
「俺の隣りにいろ」
「それだけでいいの?」
「ああ。それだけでいい」
「……そっか」
アリスはぽすりと中也の胸に飛び込んだ。
それを、難なく受け止める中也。
それ以上、言葉を交わすこともなかったが、
2人の間には穏やかな空気が流れるのであった。