第12章 居場所
住宅街近くの喫茶店。
国木田より一足先に着いた太宰は携帯電話を見ながら紅茶を飲んでいた。
カラン
入店を知らせる鐘が鳴り、先程まで持っていなかったノートパソコンを手に、国木田が現れる。
「済まない。遅くなった」
「否、時間ぴったりだよ。流石、国木田君」
ニッコリ笑って国木田に反応する太宰。
「お前の読み通り、映像に加工が見付かった」
店員に紅茶を注文した後、直ぐに本題に入る。
「◇◇が誘拐されたとされる3日前の映像が、4日前の映像と全く一緒だった」
「毎日通勤時間が一緒。とかではなく?」
「其の可能性も否定は出来ん。実際、通る車や人物は殆ど同じもの、同じタイミングだった」
「では何故?」
「とある少女がこの2日間の映像に同じ格好、同じ時間、同じ行動で写っていた。」
此れを観てくれ。
そう言いながら、パソコンの画面を太宰に向ける。
画面は大きく2つに分かれており、右には3日前の、左には4日前の日付が表示されている。
其の2つの画面は更に16ずつの小さく分かれた画面で構成されていた。
件の少女が映る画面なのだろう。
其の映像は、国木田の言う通りに確かに同じ動きをしている。
「?!」
太宰は大きく目を見開いた。
丁度、国木田が言う少女が出てきたところだった。
「何だ?!何か判ったか!?」
流石に驚く国木田。
然し、太宰は其れ以上に驚いた表情をし、囁き声程の音量で何かを云った。
「アリス…」
「あ?何だ?もう一度云え」
少々荒っぽく太宰に云う国木田。
「…此の少女は私の知り合いだ」
「!」
画面に現れたのは日本では珍しいミルクティー色の髪の毛の少女。
見間違う事など無い。
「其の少女に話を…」
国木田の台詞の途中で太宰が首を横に振る。
「彼女の所属はーー」
そう太宰が言い掛けた時、国木田の電話が着信を告げる。
「はい、国木田―――何?!」
「!」
電話に出た国木田が深刻な顔になる。
話し終えてピッと電話を切るのを確認して太宰が話し掛ける。
「何?如何かしたの?」
「……⊿⊿議員が遺体で発見された。」
「!」
太宰の中で嫌な予感が、とある確信へと変わりつつあった。