第11章 誕生日プレゼント
「紅葉姐のところに行ってくる」
「そうしてくれや」
この中では一番安全な選択肢を述べたアリスを笑顔で送り出す中也。
ーーー中也は、忘れているのだ。
「紅葉姐ー」
「アリスか。丁度善かった」
紅葉もアリスを探していた様子だった。
「如何かしたの?」
「否、アリスに飲ませてやりたいジュースが届いたのでな」
「ジュース…」
アリスの脳裏に一昨年の記憶が蘇った。
「一昨年飲んだ桃のお酒でとんでもない目に会いましたけどそれは本当にジュースでしょうか?」
アリスは警戒心を顕にする。
そんなアリスを知ってか知らずか。紅葉はホホホ、笑顔を崩さない。
「安心せえアリス。これにはアルコールは一切入っておらぬ」
「……本当?」
「本当じゃとも。お主、嘘が判るんじゃあなかったのかえ?」
「……。」
確かに。
紅葉は嘘は何一つ云っていないことはアリスが一番分かっていた。
「出来の良い苺をミルクで割って飲む苺牛乳じゃ」
「わぁ!美味しそう…!」
苺に目がないアリス。
一瞬で、警戒が解けると紅葉の横に座った。
黒服が、グラスに苺の原液を注ぎ、上から牛乳を入れる。
「ご自分で混ぜられますか?」
「うん!」
アリスの返事を聞いて、マドラーを渡す黒服。
「果肉をそのままソースにしておるから濃厚じゃぞ」
「…凄く美味しい!」
「ホホホ。気に入ってもらえたんなら良かった」
クピクピ飲むアリス。
苺のソースが入った瓶は全部で3本。パーティが終わる頃には凡てアリスが一人で飲みきっていた。
パーティも終わり、中也はアリスを連れ帰ろうと探していた。
アリスは直ぐに見つかった。宣言通りの人の元に居たからだ。
「アリス帰るぞ………」
「ちゅや〜……」
そこには、顔を真っ赤にしたアリスが紅葉の隣に座っていた。
「………またですか姐さん」
「ホホホ。私からの誕生日プレゼントじゃ」
中也の脳裏にも一昨年の記憶が蘇った。
その言葉にはぁ、と溜息を付くと中也はアリスを抱えた。
「んぅ…!」
「!」
その接触で、アリスは小さく声を上げる。