第11章 誕生日プレゼント
パーティも終盤に差し掛かり、首領が締めの言葉を、中也がお礼を述べている頃。
「アリスや。喉が渇かんか?」
「あ、丁度飲み物がなくなっちゃったところ」
紅葉がアリスのグラスを見ながら話し掛けた。
「アリスは桃は好きかえ?」
「うん!苺の次に好きー」
「丁度善いのがある。ほれ」
紅葉の合図で、黒服がスッと差し出してきたのは瓶に入った乳白色のものだった。
「桃の産地から取り寄せたものじゃ。甘熟した桃を使うてあって甘くて美味しいぞ」
「わぁー飲みたい!」
「ホホ。濃厚ゆえゆっくり飲むんじゃぞ?」
「はぁい」
注いでもらって、アリスはクピクピと飲み始める。
「本当だ!桃の味が濃くてもの凄く美味しい!」
「そうかそうか。ゆっくり飲むんじゃぞ」
美味しそうに飲むアリスを見て、微笑む紅葉。
お代わりまでした頃には、アリスは自身の身体に変化が訪れていることに気付き始めた。
「……なんか熱ぃ…?」
パタパタと手で仰ぎながら、周囲をキョロキョロと見渡すアリス。
熱さのせいか、思考も上手くまとまらない。
そこに、丁度良く現れたのは中也だった。
「姐さん、今日は有難うございま……」
御礼を云う途中で、視界に入ってきたものに目を見開く中也。
「ぅ?ぁ!ちゅやにぃ〜!」
「!?」
中也の姿を見るなり、ポフッと抱き着くアリスに困惑する中也。ギギギ、とブリキのような動きで首だけ紅葉の方を見る。
「姐さん、これは一体……」
「私からの誕生日プレゼントじゃ」
「……はい?」
潤んだ瞳で自身を見上げてくるアリスをなるべく見ないようにしながら、紅葉と話を続ける。
「こうでもせんと家に連れ込む口実も無かろうて」
「はい?!」
中也はダラダラと汗をかき始める。
「お主の嫉妬に部下が巻き込まれたら大変じゃからな」
ホホホ、と笑う紅葉。
何時の間にか傍に来ていた首領、森鷗外もニコニコしている。
この様子だと、グルのようだ。
「未成年に飲酒させてこんなにしちゃうなんて。中也君、責任取らないとだめだよ」
「いやっ!私が飲ませた訳ではなくっ……!?」
「早く連れて帰りなさい」
「…はい」
首領の言葉に力無く頷くと、中也はアリスを抱えたのだった。