第10章 猫の日
中也が去っていった執務室。
紅葉は態とらしく大きく息を吐いた。
そして、
「お主等、何か知っておるな?」
静かな声で、1人と2匹に声を掛ける。
「な、何のことでしょう」
「呆けるか、それでも善いぞ?私はな」
「……え?」
紅葉はニッコリと笑っている。
予想していた返しと違うことに更に動揺する新人。
そして、スッと目を細めて続けた。
「知らぬぞ。キレた中也は、何をするか判らないからのう」
「……。」
「勿論、私は止めぬ。もし仮に、お主等が指輪の在り処を知っていてそれを故意にやっておるとするならば立派な不敬罪じゃからな」
「そんな…あのがっ……小娘は本当に幹部の方なのですか?」
新人が紅葉に問う。
最早、犯人であることを自白した事に気付いていない新人にホホホ、と笑いながら紅葉は続ける。
「幹部であるのは間違いないが、お主等が不敬を働いたのはアリスにではない。中也にじゃ」
「中原幹部にですか!?そのようなことは決してっーーー」
「アリスの指輪の送り主は中也じゃ」
「「「!?」」」
ハッキリと云う紅葉に、驚きを隠せない1人と2匹。
「そんな……!中原幹部がっ……」
「お主等が中也に懸想している事は薄々気付いておったが真逆、こんなことまで仕出かすとはのう…」
呆れながらそう云うと、紅葉は大きな溜息を着いたのだった。