第10章 猫の日
次の日ーーー
アリスの予想通りならば、なにか知っているかもしれない紅葉の部下の所へ訪れるべく、紅葉の元へ来ていた。
「何か判ったかえ?」
「否、まだ何とも…下級構成員ばかりが狙われたということ以外は」
紅葉に今時点で判っていることを話す中也。あれから更なる被害は出ていないようであり、紅葉も頭を傾げる。
「下級構成員のみか。じゃったらアリスは巻き添えかのう?」
「恐らく」
そんな会話をしている時、横から口を挟むものがいた。
「あの、何でその、アリスっていう子は巻き添えだと?」
犬と鳥の世話を命じられた、ーーーアリスのいう3人の内の1人の新人だった。
犬と鳥の世話をしながら、会話に混ざってきたのだ。
「?アリスは私等と同じ椅子に座っておる者じゃ。被害に遭うてる者が下級構成員ばかりなら可笑しい話じゃろうて」
「へ?同じ椅子…?」
間抜けな声を出す女。
「「……。」」
明らかに狼狽える1人と2匹を静かに見るアリスと中也。
「でなければこんなに堂々とポートマフィアを彷徨くこと等と出来やしまいて」
「そっ、そうですよね〜…」
ホホ、と笑いながら云う紅葉。
声が上ずりながらも何とか返事をする新人。
「して、中也。何か用事だったのじゃろう?」
話の方向が中也に向かったことに安堵すると、新人は犬と鳥の方をまるで何かを伝えるかのように、ジッと見つめた。
「いえ、現時点で判ったことをお話しておこうと思っただけです」
「左様か。早く戻れると善いなアリス」
「にゃー」
アリスの頭を優しく撫でてやる紅葉。
「そういや姐さん、指輪を見てませんか?」
「指輪?見ておらぬがお主のかえ?」
指輪、というワードに小さく反応を見せた新人を、中也は見逃すわけがなかった。
然し、気付かぬ振りをして態とらしく続ける。
「否、アリスの婚約指輪と結婚指輪、両方見当たらないんですよ」
「指輪だけ無いのかえ?」
「ええ。他の貴金属はアリスの服と一緒にありましたが指輪だけ忽然と姿を消しまして」
「それはまた不可解じゃのう…此方でも探してみようぞ」
紅葉は新人をチラリとみた。
ーー紅葉も新人の動揺振りに気づいていたのだ。
中也は、お礼を云うと紅葉の部屋を後にした。