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その距離、反則につき。

第3章 Lesson2 新たなる学び舎


「当時この大聖堂はカトリックの重要拠点だったの。スコットランドにおける宗教的中心地で、巡礼の地であり、権威の象徴でもあった場所よ。だからその破壊も凄まじかったわ。でもここで重要なのは建物の破壊ではなく、プロテスタントによる運動よ。単なる宗教の違いじゃなくて、思想の転換。何を信じるべきかという問題に対して、根本から答えを変えようとしたのよ」
「……へえ、それで?」

 もう慣れっこのレイは、ハーマイオニーの演説を右から左に流したが、意外にもドラコが先を促した。
 思ってもみなかった魚が釣れた事に多少驚いたが、ハーマイオニーの演説はそれに答えるように熱がこもり始めた。

「カトリックは聖人や聖遺物、教会そのものに“意味”を持たせる。でもプロテスタントはそれを否定する。直接的な信仰、個人の内面を重視するから」
「だから壊したのか?“意味”を無効化するために?」
「無効化!正しくその通りよ!象徴を破壊して、それまでの宗教の持つ意味そのものを無効化したの!これが当時何を示したと思う!?」

 ほとばしるハーマイオニーの熱弁と共にドラコの体もやや前のめりになった。
 レイは正直話の内容なんてこれっぽっちも興味はなかったが、このツーショットが見られないハリーとロンは人生の1/3は損してるんじゃないかと思った。せめて写真に収められれば良かったのだが……あいにくカメラの用意はしてこなかった。
 色んな意味でワクワクしているレイの隣で、さらに演説は白熱していく。

「“意味”の無効化か……実際に何をしたんだ?」
「分かりやすく言うと、彫刻やステンドグラスの破壊よ。これらは大きな宗教的意味合いを持っていたから。これらが優先的に壊され、遺棄され、そして最後は資源として使われることになったの」
「資源?壊れた物を何に使うって言うんだい?」
「主に石材ね。当時の石材はかなり価値のある資材で、石の多くは持ち去られ、町の住宅などに再利用されたわ。現在でも大聖堂由来と考えられる石材が町の建物に残っているくらいよ。その後、破壊された屋根は崩れ、構造は崩壊し、やがて“遺跡”になった、と言うわけよ」
「つまり今僕たちが向かっている場所はただの“遺跡”じゃなく、“人為的に作られた遺跡”だと?」
「ええ、そうよ!人間が意図して壊し、意図して見捨て、意図して作った“遺跡”よ!!」
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