第3章 Lesson2 選ばれた意図
「それで、彼は?」
「彼?」
「とぼけないでよ、ドラコよ」
ハーマイオニーの口から『ドラコ』とファーストネームが出てきたことに、レイは一瞬固まってしまった。それを察したハーマイオニーが、呆れたようにため息を吐く。
「そこまで驚く事じゃないでしょう?彼は貴女の恋人だし、これからは学友になるのよ?」
「だからって、よくそこまで親しげに名前を呼べるな」
「貴女が幼すぎるのよ」
頭を切り替えなさい、と出会って5分も経たないうちに説教された。相変わらずズケズケと物を言う態度に少しカチンとくるものもあるが、これが本来あるべき平和の日常なのだ。それを忘れてはいけない。
そう自分の心に言い聞かせていると、今度は背後から聞きなれた皮肉っぽい声が飛んできた。
「おや?レイの方が僕より早いなんて、今日はこれから槍が降るのかな?」
「ドラコ、お前もか……」
テンプレート通りの嫌味と共に、ドラコ・マルフォイが登場した。いつも通りプラチナブロンドの髪をオールバックにし、薄ら笑いを浮かべている。
数か月前、シリウスと一緒に屋敷を出て行った恨みを未だに引きずっているらしい。
「それにグレンジャー、今日は教科書を持ってないんだな」
「いつも持ってるわけじゃないわ」
「でも、ガイドブックは持ってるんだな」
レイはハーマイオニーのハンドバッグから『スコットランドの歩き方』というガイドブックをスッと抜き取った。パラパラと中を見ると、赤いマジックで幾つか丸で囲ってあるのが見えた。
するとハーマイオニーは慌てて「だって初めて行く場所なのよ!?見て損はないわ!」と慌てて顔を真っ赤にした。
彼女のこのちょっとミーハーな所は嫌いじゃない。むしろ、完璧すぎないのが逆に微笑ましい。
「それじゃあ、そろそろ行くか」
「ちょっと待て、どうして君が先導を取るんだい?」
「ドラコが取るよりマシだろ?」
「その言葉、そっくり君に返してあげるよ」
「あら2人とも?マグルの列車の切符の買い方は知ってるの?」
したり顔のハーマイオニーを前に、レイとドラコは口を閉ざさるを得なかった。