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その距離、反則につき。

第3章 Lesson2 新たなる学び舎


 1998年9月1日。キングス・クロス駅は今日も朝から賑やかだった。大通りは人で溢れ帰り、その人の流れは途切れる事を知らない。まるで巨大な渦のようだ。
 本来ならマグルの街に大喜びするはずのレイだったが、今日は早起きさせられたせいでそれほどテンションも上がらない。それにこんなに人が多いと、特定の人間を見つけるのは不可能に近いんじゃないかと、レイは途方に暮れた。

(この辺りで合っているはずだよな?)

 人込みを避けるように、旅行鞄ひとつを手に大きな時計の下でレイ・アムロは足を止めた。それにしても今日は暑い。毎年毎年熱くなる一方だ。
 鬱陶しそうに前髪を書き上げつつ、レイは周囲を見回した。「彼女」の事だ、絶対に時間通りに来るはず。来なかったら明日の天気はカエルが降ってくるだろう。
 なんて思っていると、道路の向こう側からたっぷりとした栗色の髪を揺らしながら、ハーマイオニー・グレンジャーがこちらに向かって大きく手を振って走って来た。大きな時計は丁度8時30分調度を指している。

「レイ!」

 朝から明るく弾むような声を耳にして、レイはほんの少しだけ目を細め口元を緩めた。ハーマイオニーはレイと合流すると肩で息をしながら、ほんの少し赤くなった顔を手であおいだ。

「驚きだわ、待ち合わせに貴女の方が早く着くなんて!」
「ハリーに起こされたんだ。それより時間ぴったりなんて相変わらずだな」
「本当はもっと早くに来るはずだったの!でも準備に時間がかかっちゃって……ここから先は何があるのか分からないのよ?用心に越したことはないでしょう!?」

 そう、彼女の言う通りここから先はまだ行ったことのない場所だ。
 第二次ヴォルデモート戦争で、ホグワーツは城壁だけでなく、長い年月をかけて幾重にも施された結界も、殆どが破壊されてしまった。
 またホグワーツ城の近代化を求める声も多く、それら全てを取り入れるとなると、再建築には少なくとも3年ほどかかるという。

 そのため最後の1年をホグワーツではなく、仮校舎として選ばれたスコットランドにある聖・アンドルーズ大聖堂という所まで行かなくてはならなくなったのだ。それも魔法を使わず自力で。
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