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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


『約束を破って、その声で誰かを呼んだら、お前のいちばん大切なものを食べてあげる』



それを話せば、私のいちばん大切なものが誰なのかも、明かしてしまうことになる。

恵くんがそれを知ってしまったら、きっと一人で無茶をする。

恵くんはそういう人だ。
だから、絶対に言えない。


すると、野薔薇ちゃんが首を傾げた。



「縛りってことは、その姑獲鳥を祓えばの声は戻るってことよね?」



その問いに、先生は「うーん、それがねぇ」と顎に手をやった。



「姑獲鳥は隠れるのがすっごく上手くてさ。祓いたくても、あの時以来一度も姿を見てないんだよね」



先生のその言葉に、恵くんの顔が険しくなる。



「……去年、が中学を卒業する直前、学校の近くで、姑獲鳥のものと思われる残穢が確認された。今も、姑獲鳥はを取り返そうとしてる可能性がある」

「十年も経ってるんでしょ? 普通、そこまで執着するものなの?」



野薔薇ちゃんがそう言うと、先生は軽く肩をすくめた。



「それだけ姑獲鳥にとって、は特別なんだろうね」



どこかの暗闇で、あれは息を潜めて私を探している。
また、私をあの腕で抱くために。
私を……あの巣へ連れ戻すために。

喉の奥の結び目が、きゅっと締まった気がした。



「まあ、心配しなくても大丈夫だよ」



先生は空気を変えるように、ポンッと手を叩いた。



「ここは高専の結界の中だし、僕や君たちもいる。それに、もあの頃とは違って姑獲鳥に一方的に攫われるほどヤワじゃない」

「だから安心して、青春を謳歌しなさいな!」



虎杖くんが「青春って先生が言うと胡散臭いな」と笑って、野薔薇ちゃんが「それは同感」と頷く。
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