第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**
正直に書いたら、虎杖くんたちはどう思うんだろう。
どう説明すればいいのかわからなくて、私はノートの白いページを見つめることしかできなかった。
「……虎杖」
恵くんの声が、私が書くより先に落ちる。
「それ以上はやめろ」
虎杖くんが、はっとしたように口を閉じた。
「、ごめん。俺、変なこと聞いた」
ううん、虎杖くんは悪くない。
そう書きたいのに、なぜか手がうまく動かなかった。
野薔薇ちゃんが、「あんたねぇ……」と虎杖くんの肩を肘で小突く。
私のせいで、また空気が変になってしまった。
こういう時、声が出せたらすぐに「大丈夫、気にしてないよ」って言えるのに。
虎杖くんが何度も謝ってくる。
「大丈夫、謝らないで」と伝えたいのに、ただふるふると首を振ることしかできなかった。
「は、僕が保護したんだよ」
ふいに落ちてきた軽い声に振り返ると、五条先生が生クリームがたっぷりのった甘そうなドリンクを片手に立っていた。
「最初なんて、僕のこと本気で噛もうとしてきたし」
「五条先生」
恵くんが咎めるように呼ぶが、先生は気にすることなく続けた。
「五歳まで、は人の言葉を知らなかったんだから」
「え、そうなの?」
虎杖くんがそう尋ねると、先生は私をチラリと見て言った。
「は生まれてすぐ、呪いに育てられたからね」