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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


「……おい」

「わ、わかんない!」

「それじゃ答えになってねぇだろ」

「だって……!」



そんなこと言われても、本当にわからないんだもん。

伏黒くんとのキスも。
先生とのキスも。

思い出すと、身体がむずむずして落ち着かなくなる。
だから、この前ひとりであんなことまでしてしまったんだから。



「わからないなら、確かめてみるか」

「……え?」



伏黒くんに手首を掴まれ、引き寄せられる。
抱えていた本が、二人の胸の間に挟まった。



「ふ、伏黒くん……?」

「もう一回したら、わかるかもしれないだろ」

「もう一回って……」



聞かなくても、その意味はわかった。
私は掴まれた手を引いて、横に首を振った。



「……だめ。こういうことは、先生が……」



口にした途端、自分でも引っかかった。

どうして私は、ここで先生の言葉を出しているんだろう。
先生がだめって言ったから。

じゃあ――私は?



「……それ、あの人が決めることじゃねぇだろ」

「……え?」

「俺は、五条先生に聞いてるんじゃない」

「……」

「に聞いてる。俺とキスできないのが、あの人にだめって言われたからってだけなら……俺は納得できない」



何も言い返せなかった。


今ここで伏黒くんを拒む理由を探した時。
最初に出てきたのは、私の気持ちじゃなかった。

先生の言葉だった。


それって、なんだろう。
じゃあ、私自身はどうしたいんだろう。


伏黒くんが、まっすぐ私を見ている。

答えを急かすこともなく。
ただ、私がどうするのかを待っていた。


まだ、自分がどうしたいのかはわからない。

でも。
あの日からずっと、ひとつだけ自分でも説明できないことがある。



「……ずっと、変なの」

「……」

「あの日から……先生のこと考えてるはずなのに、気づいたら伏黒くんのことまで考えてるの」



先生が好き。
ずっと、先生だけを見てきた。

私の中には先生しかいなくて。
他の誰かが入り込むなんて、考えたこともなかった。



『その場所に、他のやつ入れないでよ』



あの夜、先生にそう言われたのに。
伏黒くんのことを考えてしまうたびに、いけないことをしているような気がした。
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