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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


顔を上げて、窓の外を見る。
まだ細い雨が降り続いていて、さっきよりは弱くなっているけれど、止む気配はない。


何となく向かいを見ると、伏黒くんもまだ本を読んでいた。

伏せられた目元を見て、ふと思う。


まつ毛、長いな。
羨ましい。

さっき雨の中を走ったのに、髪の毛は相変わらずツンツンしてる。
なんで崩れないんだろう。


今まで、ちゃんと意識したことなかったけど。
伏黒くんって、すごく顔整ってるよね。
モテそう。

なのに、そんな人が私のことを好きだって言った。

なんでだろう。
伏黒くんは、私のどこが好きなんだろう。


考えれば考えるほど気になって、じっと伏黒くんの顔を見てしまう。



「……なんだよ」



伏黒くんが、本を閉じて顔を上げた。



「さっきから、人の顔じろじろ見て」

「ご、ごめん……ちょっとだけ」

「本、つまんなかったか?」

「ううん。本はすごい面白かった……」



手元のミルクティーのストローをくるくる回しながら、さっきから頭に浮かんでいたことを考える。


今なら、聞いてもいいのかな。
ずっと気になってたこと。



「……伏黒くん」

「何だ?」

「なんで……私なの?」

「……?」

「その……」



ストローを回す動きが、無意識に速くなる。



「私の、どこが好きなのかなって……」



伏黒くんは少し眉を寄せた。
そんなこと急に聞かれても困る、とでも言いたそうな顔。



「どこって……わかんねぇ」

「え」

「いや、違う。なんていうか……」



伏黒くんは視線を落として、閉じた本の表紙を指でなぞる。



「いつからとか、何がきっかけだったとか。そういうの、はっきり覚えてない。気づいたら、のことばっか見てた」

「そうなの……?」

「任務ですぐ無茶するところとか。変なところで頑固。それに、天然で、どっか抜けてて危なっかしい」

「ちょっと待って。褒めてる?」

「最後まで聞けよ」



深い緑色の瞳を向けられて、私は素直に口を閉じた。
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