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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


「雨止むまで、ここにいよう」

「うん」



お店の中に入り、二人で本棚の間を歩く。


小説。
写真集。
旅行記。

知らないタイトルばかりで、つい一冊ずつ目で追ってしまう。

私も本は読むけど、こういう古本屋に来ることはあまりない。
見たことのない本ばかりで、なんだか新鮮だった。


その隣で、伏黒くんは慣れた様子で棚を見ていた。



「……あ」



ふと伏黒くんが足を止めて、一冊の本を棚から抜き取る。
少し使い込まれた表紙の本だった。



「これ。前に読んだ」

「面白かった?」

「まあ」

「まあ、なんだ」



私は伏黒くんの手元の本を覗き込んだ。



「ノンフィクション系?」

「実際にあった話とか、わりと好きで読む」

「へえ……そうなんだ」



またひとつ。
知らなかった伏黒くんを見つけた気がした。



「……それ、私も読んでみようかな」

「、こういうの読むのか?」

「普段は読まないけど……伏黒くんが面白かったなら、ちょっと読んでみたい」

「…………」

「ん?」

「いや……別に」



伏黒くんはそう言って、私に本を差し出した。

受け取って、もう一度表紙を見る。



「難しい?」

「そんな難しくねぇよ。読みやすいと思う」

「面白かったら、あとで感想言うね」

「……ああ」



そう答えた伏黒くんの口元が、珍しく緩んだ気がした。


伏黒くんの好きなものをひとつ知って。
同じ本を読む。

それだけなのに、なんだか距離が近くなったみたい。






私たちはそれぞれ本を手にしたまま、奥のカフェスペースへ向かった。

窓際の席に座って、飲み物を注文する。

私はミルクティー。
伏黒くんはやっぱり、コーヒー。


飲み物が届くと、自然と会話が途切れた。

伏黒くんはすぐに本を開いて。
私も、さっき選んだ本の最初のページをめくる。


ページをめくるうちに、物語に引き込まれていった。

実際に起きた出来事をもとにした話だからか、ひとつひとつの出来事が生々しい。

登場人物がその時どう考えて、どう動いたのか。
読み進めるほど、続きが気になっていく。


気づけば時間も忘れて、半分以上読み進めていた。
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