第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
「……つい」
「つい!?」
「自分でもわかんねぇよ」
デート。
そう言われて、否定しなかったことに自分でも驚いた。
家入さんのプレゼントを選ぶため。
最初は、それを理由にを誘った。
二人で店を回って。
が隣で笑って。
俺に意見を聞いて。
一緒にコーヒーを飲んで。
こうして好きなやつと二人で出かけて、同じ時間を過ごすことをデートって言うなら。
……否定できるわけないだろ。
「……これがデートなら……私、デートするの初めてかも」
は少し頬を赤くして、ぽつりと言った。
「……そう、なのか」
「うん……伏黒くんが初めてだ」
たぶん、こいつは大した意味もなく言ったんだと思う。
それでも、好きなやつの初めて。
そのひとつを俺がもらえた。
嬉しくないわけがない。
口元が緩みそうになって、慌ててから視線を逸らした。
「どうしたの? 伏黒くん、なんか変」
「うるせぇ」
が不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる。
その時、の頬にぽつりと水滴が落ちた。
「……あ、雨……」
が空を見上げる。
俺もつられて見上げると、灰色の雲から細い雨が落ち始めていた。
「プレゼントも無事に買えたし……ひどくなる前に、今日は帰――」
「」
言い終わる前に、呼び止めていた。
「……ん?」
帰る。
その言葉を最後まで聞きたくなかった。
ここで帰ったら、今日がただの買い物で終わる。
こいつといると、いつも願ってしまう。
もう少しだけ、の時間を俺にくれればいいのに。
「俺のこと、考えるって言ってくれたよな」
「う、うん……」
「だったら」
俺はの手を取って、ゆっくり指を絡める。
「伏黒くん……」
「今日は」
「まだ、帰したくない」