第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
「……」
「え?」
「さっきのは、家入さんのプレゼント選ぶのに付き合ってほしいって意味で言った」
「~~~~っ!」
は口をぱくぱくしたかと思うと、タオルで顔を隠した。
「い、今のなし! 忘れて!」
「無理だろ」
「忘れて!」
「無理」
「伏黒くん!」
「……わかった。努力はする」
そうは言ったが、絶対に忘れるわけがない。
こんな些細なことでも、嬉しくて口元が緩みそうになる。
それをに悟られないように、必死に堪えた。
「女の人へのプレゼントとか、俺一人じゃ何選べばいいかわかんねぇし」
「そっか、それなら……私でよければ。私も硝子さんにはお世話になってるし」
「土曜でいいか?」
「うん、大丈夫」
はまだ落ち着かない様子で、タオルを抱え直した。
「じゃあ……おやすみ、伏黒くん」
「ああ」
が俺の横を通り過ぎていく。
呼び止めようとしてやめた。
(もう少しだけ、一緒にいたい)
そう思ったけど。
土曜には、また会えるんだ。
離れていくその背中を見ながら、俺は釘崎に言われた言葉を思い出していた。
『出し抜くなら、チャンスなんじゃない?』
……出し抜く。
そんなことしなくたって、と思っていた。
正面から言えばいい。
ちゃんと伝えて、待てばいいと。
『それに僕、聞いちゃったんだよね。の、“好き”って言葉』
あの人は俺を無理やり気絶させて、その隙にに手を出した。
そうだ。
相手は、あの五条先生なんだ。
ただ待っているだけで、が俺を選ぶとは思えない。
をこの手で掴むためなら。
あの人がかけた呪いだって、俺が祓ってやる――。