第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
俺が触れようとするたびに、の中にあの人が割り込んでくる。
一体、どんな呪いかけてんだよ。
クソ。
ここにはいないくせに。
「……どういうことだよ?」
「……」
「」
「……言えない」
「言えないって何だよ」
「わかんないの。私も、先生がどういう意味で言ったのか……わかんないから」
は口元を隠したまま、目を伏せた。
その顔を見て、無理に聞き出す気が失せる。
責めたいわけじゃない。
あの人の言葉にが縛られていることが、どうしようもなく気に食わなかった。
「……じゃあ、今週空いてる日あるか」
「どうしたの急に?」
「来週、家入さんの誕生日なんだ」
「硝子さんの?」
「ああ。何か渡そうと思って」
「そ、そうなんだ……」
は話が変わってほっとしたような顔をした。
その顔を見て、また少し面白くない気持ちになる。
「あ、それなら野薔薇ちゃんたちにも声かけた方が――」
「虎杖たちは明日から今週いっぱい京都校に行くらしい」
「え、そうなの?」
「ああ。だから」
言いながら、自分でも口実っぽいとは思う。
だけど、嘘はついていない。
「、付き合ってほしい」
「つ、付き合っ……」
の顔が、また一気に赤くなった。
「え、あ、そのことは、まだちゃんと答えを出せてないというか……先生のことも、伏黒くんのことも、色々あって……その……」
は?
一瞬、何の話をしているのかわからなかった。
いや。
まさか。
「私、ああいうの初めてで……ちゃんと考えたいし……でも、ずっと待たせるのも悪いと思ってて……」
早口で、どんどん声が小さくなっていく。
視線はあちこちに泳いで、最後には俺の顔をまともに見られなくなっていた。
……ちょっと、待て。
前のなら、たぶん「どこに?」って聞き返してた。
なのに今は、俺が「付き合ってほしい」と言っただけで、真っ先にそっちの意味を考えた。
少なくとも、もう俺をただの同級生として見てるわけじゃないってことか。