第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
「だけど、今の見てる限り、あんたも全然ナシってわけじゃなさそうだけど」
「…………」
さっきの、真っ赤になったの顔が頭に浮かんだ。
俺が触れただけで。
名前を呼んだだけで。
あんなふうに慌てて。
まるで、俺からのキスを意識しているような。
「…………そう、思うか?」
「少なくとも、何とも思ってない相手にあんな反応しないでしょ」
「…………」
「ま、本人がどういう意味で意識してんのかまでは知らないけど」
そこは自分で頑張んなさい、とでも言うみたいに釘崎は肩をすくめる。
そして、俺の肩をポンと叩いた。
「私は伏黒、応援するわよ」
「いや……なんで」
「どう見たって、先生とくっつくより、あんたと付き合った方が幸せになりそうだし」
「…………」
それは、正直同感だった。
五条先生がをどう思っているのかは知らない。
でも、があの人をどう思っているのかは、あの人だって知ってるはずだ。
それなのに。
期待させるようなことをして。
答えは何ひとつ渡さない。
俺なら。
少なくとも、の気持ちを知った上で、あんなふうに振り回したりしない。
「いいこと教えてあげる。今週、先生出張でいないらしいわよ」
釘崎は、意味ありげに口角を上げた。
「出し抜くなら、チャンスなんじゃない?」
「……お前な」
「こういうのは早い者勝ちよ。あ、私と虎杖も明日からいないから〜」
それだけ言うと、釘崎はひらひらと手を振って、そのまま行ってしまう。
取り残された俺は、しばらくその場に立っていた。
五条先生がいない。
それなら。
少しくらい、と二人でいられるかもしれない。
あの人を気にせず。
誰にも邪魔されずに。
そう考えると、微かに期待してしまう。
あの日のことが、まだの中に残っているのなら。
俺を少しでも意識してくれているのなら。
もう一度、ちゃんと二人で話したかった。