第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
「……っ、ぁ……」
こんなふうになるなんて、知らなかった。
自分の身体なのに。
先生に触れられるまで、こんな場所がこんなにじんじんすることも。
少し撫でられただけで、息が詰まることも。
「……っ、ふ、ぅあ……」
もう一度目を閉じれば、今度は別の記憶が浮かんでくる。
伏黒くんに抱き寄せられた時の腕。
近づいてきた顔。
触れた唇。
そのあと、もっと近くなった身体。
『が好きだ。……俺だけを見ろ』
もう片方の手をパジャマの襟元から滑り込ませて、胸元に触れた。
伏黒くんがしていたように、胸の先を指で摘まんでみる。
「……っん、ぁ……」
ここを伏黒くんが口に含んで。
熱くて、少しざらついた舌が這って、吸い上げられて。
「ふ、ぁ……ぅ……」
目を閉じている間だけは、誰の手なのかわからなくなっていく。
下を撫でる先生の長い指と。
胸を吸い上げる伏黒くんの舌が。
まるで、今ここで同時に触れられているみたいに。
先生だったら。
伏黒くんだったら。
さっきから、そんなことばかり考えて。
指の動きが、次第に早くなっていく。
『』
『』
頭の中で、二人の声が重なる。
「……っ、ぁっ、……ん……」
腰が勝手に跳ねる。
頭の先まで、熱いものが駆け巡っていく。
もう、だめ。
「せんせ……ふしぐろ、くん……っ」
二人の名前を、無意識に呼んでいた。
全身が大きく震えて、足の指先まで力が入った。
甘い波が、何度も身体を通り抜けていく。
「……はぁっ、はぁ……」
目を開けると、見慣れた天井があった。
そこはもう、旅館の部屋じゃない。
いつもの、自分の部屋だった。
先生。
伏黒くん。
二人の顔が、交互に浮かぶ。
どっちを思い出した時の方が苦しくて。
どっちに触れられた時の方が嬉しかったのか。
確かめようとすればするほど。
ますます、わからなくなっていった。