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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


――ずっと、好きな人。



そう。
先生は、ずっと特別だった。

だったのに。



『好きだ……のことが』



今度は別の声が蘇って、身体が固まった。


伏黒くん。

告白されたこと。
抱き寄せられたこと。
キスされたこと。

思い出した唇の感触に、今度は違う意味で頬が熱くなる。



「なんで伏黒くんまで出てくるの……」



先生のことを考えていたはずなのに。

いつの間にか。
伏黒くんまで、頭の中にいる。


先生に触れられた時のことを思い出せば、伏黒くんとのキスまで蘇って。
伏黒くんのことを考えれば、今度は先生の声が聞こえてくる。


もう一度、枕に顔を埋めた。



「わかんないよぉ……」



先生の「彼氏を作るな」が何を意味しているのかも。
伏黒くんに言われた「好き」に、私は何を返したいのかも。


何ひとつ、わからない。
ただ一つわかるのは。

旅館へ行く前と同じ私には、もう戻れないということだけ。


仰向けのまま、両脚を少しだけすり合わせた。
二人のことを考えると、下腹部のあたりが熱くなってむずむずする。

パジャマのズボンに、そっと手を入れる。


なんで。
もう。
なにしてるの、私。


思い出さないようにすればするほど、身体の方が勝手にあの夜を思い出していく。


目を閉じると。
そこはもう、自分の部屋じゃなかった。


薄暗い旅館の部屋。
畳の匂い。

すぐ隣から聞こえていた寝息。

背中に感じた先生の体温。
耳元に落ちてきた声。



『いいよ。もっと変になって』



先生の手は、もっと大きくて。
思っていたよりずっと、体温が高かった。


下着のふちに指をかけて、少しだけ布をずらす。
先生が触っていたように、自分でも触ってみる。


あの長い指が這っていた場所に、自分の指を重ねる。
直接肌に触れた瞬間、身体がびくっと跳ねた。



「……っ」



指の腹で、優しく撫でてみる。
円を描くように。
先生がしていたのを、思い出しながら。


こうやって。
たぶん、こんなふうに。
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