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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


自室のベッドの上で膝を抱えたまま、私はもう何十分も同じところを見つめていた。

今日は先輩たちも野薔薇ちゃんも任務に出ていて、寮は普段よりずっと静かだった。

聞こえるのは、時計の針が刻む音と。
時々、窓の外から届く虫の声だけ。

なのに、頭の中だけがうるさい。



『彼氏、作んないでね』

『は、僕とおんなじ特別で変なやつだって』

『その場所に、他のやつ入れないでよ』



まただ。
あれから一週間以上経っているのに、何度思い出したかわからない。


先生の声。
あの時の顔。

額が触れそうなくらい近かった距離。



「……どういう意味なの……」



彼氏を作るなって。
他の人を同じ場所に入れるなって。

それって。

それって、普通――。



「……いやいやいやいや」



ぶんぶんと首を振った。


違う。
だって先生は、一度だってそんなこと言ってない。

私のことが好きだとか。
付き合いたいだとか。
そういうことは何も。


なのに。
先生と、あんなことまでしてしまった。


思い出した瞬間、顔が一気に熱くなる。



「~~~~っ!」



そのまま枕を掴んで、顔を押しつけた。

無理。
忘れられるわけがない。

先生の腕の中で。
先生にキスされて。
先生に触れられて。


恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。

胸まで先生に触られた。
それに、あんなところまで。

変な声まで出して。


私、初めて――。



「……っ、もう……」



枕に顔を埋めたまま、足をばたばたさせる。


でも、嫌だったかと聞かれたら。
たぶん、違う。

むしろ。
ずっと好きだった人に触れられて、嬉しくなかったわけがない。
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