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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第6章 【五条悟】勿忘草の悪魔 Ⅲ**


五条さんの頬を両手で挟んで、むにっと引っ張った。



「…………」



もう一回むにむに。

……消えない。
夢なら、こういうことしたら普通消えたりしない?


五条さんが、頬を潰している私の手首を掴んだ。



「死にかけてたくせに、元気になったね」



死にかけてた?

今。
五条さん、なんて言った?


死に、かけてた。
……「かけてた」ってことは、まだ死んではいない。

死にそうだった。
でも、死んではいない。

え。

じゃあ私、まだ死んでないってこと?



これ、夢じゃ、ない……?



自分の中で、都合のいい夢と現実の境界線が音を立てて割れた。



「な、ななななななな、何してるんですかぁーーっ!?」



勢いよく上体を起こし、近くにあったシーツをひったくるように引き寄せた。

そのまま自分の身体をぐるぐる巻きにして隠し、ベッドの端までズザーッと後ずさる。



「え? 何って……」



五条さんは顎に手を当てて、少し考えた後。












「クンニ?」

「ぶふっ!?」



あまりにもストレートな単語に、むせてしまった。

そんなあっさり言わないでください。
その言葉は、私の中のえっちな言葉ランキング、堂々の第二位ですよ!


じゃなくて!

ま、待って、待って待って!
今までの、夢じゃない!?

え、どこからが夢!?
どこからが現実!?


ぎゅってしてって甘えたり。
大事な子?なんて聞いたり。

それに私、『好き』って……っ!?


あの水族館の日に、ようやく気づいた気持ち。
ずっと隠しておくつもりだったのに。


さっき、私は言ってしまったのだ。

『好き』だと。
何回も!!


私はのそのそとシーツから顔を出した。
五条さんはシーツの塊と化した私を、ニヤニヤと笑いながら見つめている。



「五条さん……あ、あの……」

「ん?」

「さっきの……聞こえて、ました……?」

「さっきの……? 何のこと?」



聞いてない?

じゃあ。
あの「好き」は、夢の中で言ったんだ。



「……よかったぁ……」



全身から力が抜けて、ほっと胸を撫で下ろした。
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