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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第6章 【五条悟】勿忘草の悪魔 Ⅲ**


「……本当にさんですか?」



彼女の唇がわずかに動くが、声にはならない。
そのまま瞼がゆっくりと閉じていった。

意識を失ったらしい。


動揺するな。
目の前にいるのは淫魔だ。

呪術師として、何をすべきか考えろ。


息を呑み、刀を握る手に力を込める。


(このまま、祓う)


切っ先を彼女の喉元へ突き立てようとした、その時だった。
















「憂太」



聞き慣れた声に、身体が止まる。



「……せ、先生?」



振り返ると、路地の入口に五条先生が立っていた。


じゃあ、さっき感じた気配は――。
先生が近くにいたから……?



「どうして、ここに……」



先生は僕の問いには答えなかった。

目隠しの奥から、僕を見ている。


いや。
僕じゃない。

地面に倒れている、この女性を。



「その子から、刀どけて」

「……でも、先生。この人は――」

「わかってる」



言葉を遮るように、先生が言った。



「だから、どけて」



そう言った五条先生の顔に、いつもの軽薄な笑みはなかった。


僕は迷いながらも、ゆっくりと刀を下ろす。
先生は僕の横を通り過ぎると、そのまま地面に倒れている女性のそばへ膝をついた。



「…………」



……え?
先生は今。
確かに、この人を。

、と呼んだ。

迷いもなく。
当たり前みたいに。


先生の手が、そっと彼女の頬に触れる。



「……何やってんの」



小さく零れた声は、怒っているようにも聞こえた。



「絶対、家から出るなって言ったじゃん」



その瞬間。
数日前の車の中で聞いた先生の言葉が、頭を過ぎった。
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