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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


そのまま二人揃って地面へ倒れ込む。
鈍い音が響き、淫魔の頭が地面にぶつかった。



「いったぁ……」



私も肘と膝を盛大に打ったけれど、今はそれどころじゃない。

顔を上げると、淫魔は頭を打ったせいか、一瞬動きを止めている。

今しかない。



「今です! 走って!」



男の子がびくりと身体を震わせた。



「でも、お姉ちゃんが……」

「私は大丈夫だから! 早く!」



大丈夫じゃないけど。
この後、絶対めちゃくちゃ怒られる。

土下座したら許してもらえるかな。


男の子は迷ったように私を見たあと、ぎゅっとリュックを抱きしめる。
そして、路地の出口へ向かって走り出した。


よかった。
これで、この淫魔も諦めるだろう――。



「この……っ!」



髪を強く掴まれた。



「痛っ!」



そのまま地面へ引き倒される。
淫魔の顔から、さっきまでの余裕は完全に消えていた。



「舐めた真似してくれるじゃない」

「……っ」



怒ってる。
ものすごく怒ってる。

まずい。
土下座しても、許してくれないかも。



「あんた……そんなに人間が大事?」

「…………」

「なら」



淫魔の口元に、薄い笑みが浮かんだ。



「あんたから精気をもらおうかしら」



淫魔の手が私の喉元を掴んだ。
逃れようと身体を捩るけれど、反対の手で肩を地面に押さえつけられ、起き上がることもできない。



「なにを――」



淫魔の尻尾が持ち上がり、その先端が細く尖っていく。

そう見えた、次の瞬間。
胸元に、焼けるような痛みが突き抜けた。



「――っ、あぁっ!!」



淫魔の尻尾が、服ごと胸元に深く突き刺さっている。
そして、そこから身体の奥を、強烈な力で引っ張られるように、精気を吸い上げられていた。



「……っ!!」



全身から、一気に力が抜けていく。
息を吸うことさえ、うまくできない。


さっきまで身体いっぱいに満ちていた五条さんの精気が、どんどん身体の外へ引きずり出されていく。
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