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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


これが。
奪うってことなんだ。

痛い。
怖い。
精気を吸い上げられるたびに、命まで一緒に削られていくようだった。


視界が霞み、目の前の淫魔の顔さえ輪郭を失っていく。

角も、羽も、さっきまで活躍してた尻尾も。
形を保てなくなったのか、薄く透け始めている。



「……ご……」



五条さん。

名前を呼びたいのに、口から漏れたのは掠れた息だけ。

最後に、会いたかった――。












ヒュッ、と鋭い音がした。

閉じかけた視界の中で、淫魔の首が宙を舞う。
そのまま、私のすぐそばに落ちた。


首を失った身体がぐらりと傾き、砂のように崩れ、跡形もなく消えていった。














「……あれ?」



知らない男の人の声がした。



「今、一瞬だけ……五条先生の気配がしたような気がしたんだけど」



五条、先生……?


霞む視界の向こうに、人影が見える。

白い服。
黒い髪。
手には、長い刀。


(……誰……?)


男の人は私のすぐそばまで来ると、膝をつく。



「大丈夫ですか?」



そう言いながら、男の人が私へ手を伸ばしかけるが、途中で止まる。
代わりに、ひやりと冷たいものが首元に触れた。



「……っ」



刀の刃が、私の喉元へ向けられている。
男の人は刀を構えたまま、じっと私を見下ろした。









「あなた……本当にさんですか?」






どうして。
どうして、私の名前を知っているの――。

聞きたいのに、もう声が出ない。
男の人の姿も徐々に滲んでいく。







それは、五条さんが私にくれた名前。
五条さんだけが知っているはずの名前。

なのに。

どうして、あなたが――。


その答えに辿り着く前に、私の意識は暗闇へと沈んでいった。



















𓂃 勿忘草の悪魔 𓂃

── to be continued.
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