• テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


「お姉ちゃん……!」



男の子が心配そうに私に駆け寄った。



「だ、大丈夫……」



壁に手をつき、なんとか立ち上がる。

大丈夫じゃない。
めちゃくちゃ痛い。
できることなら、この場にしゃがみ込んでわんわん泣きたい。


だけど、男の子の前で倒れるわけにはいかなかった。



「新人のくせに、私を止める? 笑わせないでよ」



淫魔がゆっくりとこちらへ歩いてくる。
相手から漂う殺気に、ぞわりと全身の毛が逆立つ。


今度は、黒い影がこちらへ伸びてきた。


咄嗟に男の子を抱きしめ、身を屈める。
頭上を何かが掠め、背後の壁に大きな亀裂が走った。



「ひぃっ……!」



なに、今の。
当たってたら、絶対痛いどころじゃ済まなかった。


というか。
私、どうやって戦えばいいの!?

会社の研修で教わったのは、契約書の書き方と、精気のもらい方と、男の人を誘惑するセリフだけだ。

こんなの、研修内容に入ってない。


部長。
新人研修に戦闘訓練も追加してください……!



「ほんと、馬鹿な子ね」



淫魔の腕が振り上げられた、その時だった。

私の尻尾が、勢いよく淫魔の手首に巻きついた。



「なっ……!」

「尻尾!?」



相手の淫魔も驚いていたけれど、一番驚いているのは私だった。


五条さんに懐いてばっかりだと思ったけど。
こんなこともできるのね。


尻尾は淫魔の腕を掴んだまま、ぎゅっと締めつけている。



「ちょっ、離しなさいよ!」

「無理です! 私もどうやって離すのかわかりません!」

「はぁ!?」

「勝手に動いてるんです!」



淫魔が苛立ったように腕を振り払うが、私の尻尾はそれでも離さない。

それどころか、今度は淫魔の腕をぐいっと引っ張った。



「えっ、ちょ……わっ!」



当然、尻尾と繋がっている私の身体まで一緒に持っていかれる。

前へつんのめり、その勢いのまま――。



「きゃっ……!」

「っ……!」



私は淫魔の身体に思いきりぶつかった。
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp