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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


『っ……!』

「先輩!?」

『ごめん、新人ちゃん。もう切るわ』

「待ってください! 今どこにいるんですか!?」

『いいから、あんたは早く――』

「先輩!」



プツッ。
そこで、通話が途切れた。
返ってくるのは、無機質な電子音だけ。


慌ててかけ直すが、先輩は出なかった。



「どうしよう……」



スマホを握りしめたまま、私はその場から動けなかった。


呪術師側に、会社の情報が渡っている。
今も、淫魔が次々に祓われている。

そして。

私の契約者は――呪術師だ。


五条さんが私と契約した理由は、最初からわかっていたはずなのに。
私は、何を浮かれていたんだろう。


そうだ。
今朝、五条さんが出ていく前にこう言っていた。



『そうだ、。今日は、絶対に家から出ないで』



五条さんは、知ってたの?
今日、淫魔が祓われることを。


だから、私に家から出るなって。



「……どうして?」



どうして、私だけ――。

私も、あとで祓うつもりなの?
協力者としての役目が終わるまで、ここに置いているだけ?


五条さんにとって、私は何なんだろう。


契約者と淫魔。
協力者。

最初から、それだけだったはずなのに。


鼻の奥がつんとして、滲んだ涙を服の袖で乱暴に拭う。
そっと段ボールの蓋を元に戻して、立ち上がった。


五条さんには、絶対に家から出るなと言われているけど。
もし先輩に何かあったら。

それに、今回のことに私が少しでも関わっているのなら。
ここで何もせずに隠れてなんていられない。



「先輩、無事でいてください……!」



玄関を飛び出して、私はそのままマンションの外へ駆け出した。
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