• テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


そういえば。

いつも私は、五条さんにキスをしてもらって。
触れてもらって。
今日だって、私ばかり気持ちよくしてもらった。


……これって、専属淫魔としてどうなんだろう。
淫魔は契約者さんの欲求を満たさなきゃいけないのに。



「……あの、五条さん」

「ん?」

「いつも、してもらってばかりなので……えっと……」



恥ずかしがっている場合じゃない。
これは仕事。
契約者さんの欲求を満たすのも、淫魔の立派な役目なんだから。


私はペットボトルをぎゅっと握りしめ、意を決した。



「きょ、今日は……私が、その……口で……」

「ダメ」

「まだ最後まで言ってません!」

「言わなくてもわかるって」



五条さんは即答すると、楽しそうにけらけら笑った。



「、絶対下手そうだし」

「ぶっ……!」



あまりにも失礼な一言に、五条さんを睨む。



「や、やったことないんだから、下手かどうかなんてわからないじゃないですか!」

「ほら、やったことないんじゃん」

「動画見て勉強もしました! 後は、実践すれば――」

「僕で練習しようとしないでくれる?」

「契約者さんなんだからいいじゃないですか!」

「やだよ。噛まれたら嫌だもん」



五条さんは笑いながら、私の頭をぽんぽんと撫でた。



「は大人しく精気もらってればいいの」

「でも、それじゃあ私ばっかり……」

「いいんだって」



五条さんが、指で私の頬を軽くつつく。



「僕がしたくてやってんだから」

「……っ」



また。
そういうことを、何でもないみたいに言う。

せっかく落ち着きかけていた心臓が、またうるさくなった。


そんな私を知ってか知らずか、五条さんはテーブルの上に置いてあったスマホを手に取った。



「さて、と」



画面を確認しながら、ソファから立ち上がる。



「じゃ、そろそろ僕、高専戻るね」

「……はい」



もう、行っちゃうんだ。

仕方ない。
五条さんは呪術師で、先生で。
私の契約者さんでいる以外にも、たくさんの役目がある人だ。

わかっているのに。

さっきまであんなに近くにあった体温が、離れていくのはやっぱり寂しかった。
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp