第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**
「……もっと、欲しい?」
欲しい。
そんなの、欲しいに決まってる。
精気も。
キスも。
奥を掻き回す指も。
五条さんも。
全部、欲しい。
けれど、そんなことを言えるはずがなくて。
唇をぎゅっと噛み締めた。
それだけで伝わってしまったみたいに、五条さんが小さく笑う。
「ほんと、素直じゃないんだから」
もう一度、息が止まるくらい深くキスをされる。
同時に、下の指が私の弱いところを何度も撫でるように押し込まれた。
「ひ、やっ、ぁ、あっ……ん……っ!」
その瞬間、ぱちんと弾けるような快感と共に、濃密な精気が一気に身体の中へ流れ込んでくる。
「ん、んあっ……イく……っ、ぅ……」
熱くて、甘くて、苦しいくらい身体が満たされていく。
だけど、心はまだ全然満たされない。
好き。
五条さん、好き。
好きなの。
大好き。
言えない言葉だけが、何度も頭の中に溢れていた。
乱れた呼吸を整えながら、五条さんの肩に、そっと額を押しつける。
(ちょっとだけだから……)
近くで感じる体温。
鼻先をくすぐる、五条さんの匂い。
恋人でもないのに、こんなふうに甘えるのはだめだけど。
それでも今だけは。
ほんの少しだけ、五条さんのそばにいることを許してほしかった。
私は目を閉じて、離れなきゃいけなくなるまで、その温もりに身を預けた。
しばらくして、ようやく呼吸が落ち着いてきた頃。
五条さんがソファから身体を起こし、テーブルの上に置いてあったペットボトルを私に差し出した。
「はい。水」
「……ありがとうございます」
受け取った水を、一気に半分ほど飲む。
それに気づいた五条さんが、隣でくくっと笑った。
「そんなに喉渇いた? 今日もいっぱい喘いでたもんね」
「なっ……」
恥ずかしさで、危うく水を吹き出しそうになった。
「そ、それは……五条さんが、あんな……」
「僕が?」
「……なんでもないです」
五条さんの指が気持ちいいからだもん。
私の弱いところばっか触るからだもん。
私は誤魔化すように、もう一口水を飲んだ。