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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


「くくっ……最近の子供はませてるねー」

「びっくりしました……私、人間のこと、まだまだ勉強が足りなかったようです」

「何が?」

「子どもなのに、あそこまで深い知見を持っているなんて……師範とお呼びしたほうがいいのでしょうか」



淫魔としてのプライドが粉々に砕け散り、私が本気で落ち込みながら呟くと、五条さんは「師範って!」とさらに吹き出した。



「……っ、なんでそこで笑うんですか!」

「いやー、って相変わらずズレてるよね」

「ず、ズレてません! 私は真剣なんです!」

「はいはい」



五条さんは笑い声をこらえきれないまま、しゃがみ込んだままの私に向かって手を差し出した。



「行くよ、。デートの続き」

「……っ」



デート。
これ、本当にデートなんだ。
五条さんと、デート。

デートって、特別な二人がすることって、先輩が言っていた。
専属淫魔として認められたってこと?


差し出されたその手に自分の手を重ねると、五条さんは軽々と私を引き上げる。
立ち上がったあとも、五条さんは私の手をぎゅっと繋いで離さなかった。



「もうすぐイルカショー始まるんだよねぇ。急がないと、いい席取られちゃう」



そう言いながら、五条さんが私の手を引いて歩き出す。


私は繋がれた手から、どうしても目を離せなかった。
昨日はただ、この手を握ることだけ許してもらえれば、それでいいって思っていたのに。


今は。


もっと五条さんのことを知りたい。

もっと私の名前を呼んでほしい。

もっと、こうして笑っている顔を見ていたい。

もっと五条さんのそばにいたい。


五条さんといると、どんどん欲張りになっていく。



『ほんとの気持ち、かくしちゃだめなんだよ』



さっきの男の子の言葉が、頭の中で繰り返されていた。


ほんとの気持ち。
それって、なんだろう。

この欲張りな気持ちのことなのかな。


わからない。
自分のことなのに、全然わからない。




胸の奥で、どんどん大きくなっていく何か。

あの男の子なら、これをなんと呼ぶのだろう。
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