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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


「五条さん!?」



思わず見上げると、五条さんは男の子に向かってにこにこと笑っている。



「じゃあ、お兄さんとお姉さんは、パパとママみたいに好き同士ってこと?」

「す、好き――っ!?」



今度は声だけじゃない。
心臓まで盛大に跳ね上がった。


好きなんて。
私、淫魔だよ。

人間から精気をもらうために契約しているだけで、そういう感情とは別のところにいるはずで。

それなのに。
なんで今、心臓がこんなにうるさいの。



「そ、そそそそんなわけないですっ! これは契約上の、その、健全な交流活動で……!」



男の子が不思議そうに首を傾げている。


だめだ。
子供に説明するには、難しすぎる単語を選んでしまった。
私たちの関係を、どう説明したら……。



「お姉さん、ほんとの気持ち、かくしちゃだめなんだよ」

「へ?」

「ママがパパによく言ってるー。すなおになるのが、カンケイが長く続くひけつなんだって」



私は衝撃で固まった。

私、人間の五歳児から契約関係を長続きさせるための指南を受けてる!?
彼は、私と五条さんの契約の行く末を心配してくれているのだろうか……!?



「おー、君いいこと言うね。将来有望」



ぽかんとする私の隣で、五条さんが肩を震わせて笑っていると。



「翔ー!」



少し離れたところから、女性の声がした。
男の子がぱっと振り返る。



「あ、ママが呼んでる」



そして、私たちに向かって手を振った。



「じゃあね、デートがんばってねー!」

「だから、デートじゃ……っ」



言い終わる前に、男の子は母親の方へ駆けていってしまった。

残された私は、しゃがみ込んだまま呆然とする。

嵐が去った。
たぶん今、私はとんでもないものに遭遇した。
人間の子ども、恐るべし。
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