第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**
尻尾はびくっと跳ねたあと、なぜか嬉しそうにふわふわ揺れる。
それどころか、五条さんの指に自分から絡みついていった。
尻尾は私の一部なのに。
私よりずっと、五条さんのそばにいるのが上手い。
(ずるい……)
え、今……私、尻尾にずるいって思った?
「、顔すごいことになってるよ」
「へっ!?」
「も遊んでほしい? ほら、お手」
「私は犬じゃないですっ!! 淫魔です!」
私は繋がれていた手を慌てて引き抜き、毛布を抱きしめるようにして身体を起こした。
「それより! 五条さん、すみません! 私、淫魔失格です!」
「朝から急に反省会?」
「契約者さんと同じベッドで寝てしまいました! マニュアル違反です! 完全に不適切なパーソナルスペースの侵害です!」
「いや、仕方ないでしょ」
五条さんは寝転がったまま、片肘をついた。
「、また気絶したんだから」
「……え」
「僕の精気が美味しすぎたのか、キスの途中でコテッとね」
だから途中から記憶がないんだ。
それなら納得…………って、また気絶したの、私。
「床に転がしとくわけにもいかないでしょ、ね?」
五条さんが尻尾にそう言うと、尻尾がこくこく頷くみたいに上下に揺れた。
私は慌てて尻尾を掴み、五条さんから引き剥がした。
尻尾は不満そうに、先端をふるふると揺らしている。
五条さんはそんな私たちを可笑しそうに眺めながら、上半身を起こした。
白い髪をくしゃりとかき上げ、欠伸をひとつする。
「。支度して」
「……支度?」
「今日は出かけるよ」
「出かけるって、どこに……?」
五条さんは青い瞳を細めて、にっこりと笑った。
「――特別課外活動。に、五条悟について教えてあげる」