第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**
「~~~~っ!!」
嘘つきな私の言葉とは裏腹に、欲望むき出しで五条さんにすがりつく自分の尻尾。
尻尾のばか!!
さっきまで元気なかったくせに!
尻尾を引き剥がそうとするけれど、尻尾は五条さんの手首に巻きついたまま、微動だにしない。
「ち、違いますっ……これは、その……っ」
必死に言い訳を探していると、五条さんがふっと笑った。
その笑顔が、思ったより近くにあって。
「え……」
五条さんの手が私の後頭部に回る。
身体ごと引き寄せられて、気づいた時には唇を塞がれていた。
「んっ……!」
甘い精気が、一気に流れ込んでくる。
五条さんに触れられるの、本当はまだ少し怖い。
なのに、身体の奥から待っていたみたいに熱を取り戻していく。
押し返そうとした手は、五条さんの服の胸元を力なく掴むことしかできない。
「……っ、ごじょ……ぁ、んっ……」
名前を呼ぼうとした声ごと、もう一度深く塞がれる。
五条さんに覆いかぶさられ、背中からベッドに押し倒された。
毛布が肩から滑り落ちる。
尻尾を掴んでいた私の手を五条さんが外すと、その長い指を私の指の間へ滑り込ませた。
指と指が深く絡み合い、ぎゅっと隙間なく握り込まれる。
そのまま、シーツに縫い留められるみたいに押さえられた。
「んっ……ぁ……っ」
薄く目を開けると、離れたばかりの唇のすぐ上で、五条さんが青い瞳を細めて笑っていた。
「尻尾じゃなくて、こっちで捕まえてなよ」
そう言って、五条さんはもう一度キスを落とす。
いいの?
私が。
この手を、握り返しても。
もう少しだけ。
離したくないって、思っても。
恐る恐る握り返すと、五条さんも私の手をぎゅっと握り返してくれた。
だめなのに。
また甘えてしまう。
五条さんは、私を他の淫魔と同じようには見ていないのかもしれないって。
私だけは、そばにいても許されるのかもしれないって。
そんなふうに、また勘違いしてしまう。
私は、217番の淫魔。
なんて名前じゃない。
五条さんとの契約が切れれば、何も残らない。
ごめんなさい、神様。
五条さんの特別になりたいなんて、言わないから。
今だけは。
この手を握ることだけは、許してください――。