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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**


「……どういうこと、とは?」

「僕が帰ってこなかった四日間で、どうしてこんな精気不足になってるわけ?」

「そ、それは……」



どう説明すればいいのかわからなくて、言葉に詰まる。

言えるわけがない。

自分の精気を削って、会社に提出していたこと。
その理由を聞かれたら、路地裏で見たことまで話さなくちゃいけなくなる。
どうしよう。


黙り込んでいると、突然、五条さんが私の頬をつまみ、むにゅっと横に引っ張った。



「ふにゃっ……!?」

「僕が連絡しても、全然既読つかないし」

「……え」



連絡?
あ、スマホも見る気力なくてテーブルの上に置きっぱなしだった。



「嫌な感じがしたから、予定切り上げて帰ってきたの。そしたら案の定、僕のベッドで干からびかけてるし」



予定を、切り上げて。
私のために。

どうして。
どうして、そこまでしてくれるの。



「ま、言いたくないならいいけど」

「……ごひょ、さん?」



五条さんは私の頬をつまんだまま、少しだけ眉を寄せた。



「今度から、足りなくなったらちゃんと言いなよ……心配だから」



心配。
また、それ。

私は淫魔なのに。

どうしてそんなふうに、当たり前みたいに言ってくれるんだろう。



「……はい……」



小さく返事をすると、五条さんはようやく私の頬から手を離した。
でも、すぐに今度はスッと私の顎をすくい上げる。



「さっきのじゃ、まだ全然足りないでしょ。今日は特別サービス」

「と、特別サービス……?」



聞き返すより早く、五条さんの顔が近づいてきた。



「五条さん、さっき充分いただきましたからっ……!」



慌てて手で口元を覆い、首を横に振った。


だめ、これ以上はもらえない。
本当は……もっと欲しい。

キス……も、してほしいけど。


それに、今の五条さんの顔面偏差値の高さでキスをされたら、心臓が爆発して死んでしまうかもしれない。


距離を取ろうとする私を見て、五条さんはふっと笑い声を漏らした。



「尻尾はそう思ってないみたいよ」

「……へ?」



言われて視線を落とすと、尻尾が五条さんの手首にくるくると巻きつき、あろうことか、彼を私の方へと力いっぱい引っ張っていたのだ。

まるで、『キスして♡』と懇願するように。
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