第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**
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五条さんが家を空けてから、四日目の夜。
私は五条さんのベッドの上で、毛布にくるまったまま丸くなっていた。
本当は、五条さんが用意してくれた自分のベッドで寝るべきなのかもしれない。
でも、この場所からどうしても離れられなかった。
シーツに顔を埋めると、ほんのりと五条さんの匂いがする。
これは別に、寂しいからじゃない。
精気が足りない時は、契約者さんの近くにいた方が落ち着くから。
きっと、そういう本能みたいなものだから。
……たぶん。
「はぁ……」
身体が重い。
目を閉じても眠れるわけじゃなくて、ただ、起き上がる気力がどこにも残っていなかった。
ふわり、と何かが頬に触れる。
薄く目を開けると、尻尾が私の頬を撫でていた。
先の方が力なく揺れて、まるで「大丈夫?」と聞いているみたいだった。
「ふふ……ありがとう。心配してくれてるの?」
そう声をかけると、尻尾は小さく震えて、もう一度そっと頬に触れてくる。
さっき、会社に精気を提出したばかりだ。
五条さんからもらったものじゃない。
自分の中に残っていた精気を、無理やり削って提出した。
ただでさえ、五条さんから補給していないのに。
それでも毎日、会社に提出する分だけは削り続けていた。
「ちょっと休めば、平気だから」
尻尾に向かってそう言い聞かせる。
「……大丈夫」
もう一度呟いた声は、自分でも驚くくらい弱かった。
尻尾が、困ったように私の手首に巻きついてくる。
まるで、これ以上自分を削らないで、と止めているみたいに。
「ごめんね」
私はその尻尾をそっと撫で返した。