第5章 【五条悟】勿忘草の悪魔 II**
会社用スマホをテーブルに置いた直後、隣にあった私物のスマホにピコンとSNSの通知が届いた。
『先輩(@succubus_xxx)が新しい写真を投稿しました』
画面をタップすると、そこには顔を手で隠した先輩のアイコンと、写真つきの投稿が表示された。
『人間界のコンビニスイーツ最高〜! 新作の生クリームシフォンめちゃうま。おすすめ😈✨』
写真に写っているのは、たっぷりのホイップクリームが乗ったシフォンケーキ。
(……これ、五条さん好きそう)
不安なことは山ほどあるのに、私はこれを食べた五条さんがどんな顔をするのか想像していた。
五条さんが喜んでくれたらいいな。
だって、契約者さんだし。
これも、専属淫魔の大事なお仕事だし……たぶん。
「うん。プリンのお礼、しなきゃだし」
ソファから立ち上がって、財布とスマホを小さなバッグに入れた。
五条さんからは、「好きに使っていいよ」と生活費を渡されている。
黒いツヤツヤしたカードも渡されたけれど、使い方がわからなくて、まだ一度も使えていない。
だけど、今日は五条さんのお金ではなく、自分のお給料で買いたかった。
プリンのお礼だもん。
マンションを飛び出すと、外はもうすっかり日が落ち、街灯がぽつぽつと灯り始めていた。
(五条さんが帰ってくるまでに、驚かせてあげよう)
そんなことを考えながら、私は夜の街へ出かけた。
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コンビニを出てすぐ、私は店先でレジ袋の中を覗き込んだ。
透明なカップが二つ――五条さんと私の分。
先輩のおすすめのスイーツは、なんと人気商品だったらしく何軒かコンビニを回ってやっと手に入れることができた。
(最後の二つだったから、無事に買えてよかった)
もしかしたら、『お、偉いじゃーん。僕の好みわかってるねー』なんて言って、頭をぽんぽんしてくれるかもしれない。
いや、別に。
撫でてほしくて買ったわけじゃないけれど。