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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


その震えで、ようやく気づく。

いや、今考えるべきことはそこじゃない。
声。
が声を出した。

だめなんじゃなかったのか。
縛りがあったんじゃないのか。



「、声……」



そう言いかけると、が何かを言おうとして唇が小さく開く。
けれど、もう声は出てこなかった。

唇が何度も開いては閉じて、必死に何かを伝えようとしている。



「大丈夫だ。無理して出さなくていい」



俺はを支えるようにして一度身体を離すと、机の上に置いてあったノートとペンを取った。
それをに渡してやる。



「書けるか。ゆっくりでいいから」



はおずおずとペンを受け取って、ノートにペン先を落とす。
かすれた線が、白い紙の上をゆっくり進んでいく。



『恵くんは?』
『体、変じゃない?』



なんで今、俺の心配なんかしてんだよ。
姑獲鳥との縛りを破って何かあるのは、お前の方だろ。



「俺は平気……」



いや、平気じゃない。
が声を出したこと。
どこにも行かないでの意味。
それに、一番は……。








「キ、ス……ナン、デ」



俺はどうして、こんな片言になってんだよ。


は真っ赤になったまま、ノートをぎゅっと抱え込むようにして俯いていた。


そんな顔すんな。
言ったこっちまで、おかしくなるだろ。

また期待してしまう。

もしかして。
本当に、もしかして。

も、俺と同じ気持ちなんじゃないかって。


今なら、言えるんじゃないか。

家族でも、幼馴染でもない。
ずっと言えずにいたものを、ちゃんと。












に、好きだって――。






けれど、最後の一言を告げる前に。
がノートにペン先を落とした。
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