第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**
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あの日から、数日が経った任務帰りの夕方。
駅前のロータリーで、私たちは送迎車を待っていた。
初夏の日差しを避けるように、五条先生と野薔薇ちゃんは日陰に立っている。
虎杖くんは「腹減った!」と言って、さっきコンビニへ走っていった。
今日の任務は、五条先生と野薔薇ちゃん、虎杖くんと私の四人。
恵くんは別任務で、朝から姿を見ていない。
私はその少し後ろで、ぼんやりと足元を見つめていた。
(……はぁ)
どうしても、数日前の恵くんとのお出かけを思い出してしまう。
新しいTシャツを買って戻った後、予定通りお寿司を食べに行ったけれど。
お寿司は、驚くほど全然味がしなかった。
恵くんも、あれからあまり話さなくなった。
怒っていたわけじゃないと思う。
でも、いつものように隣にいてくれるのに、どこか遠い気がして。
「」
明るい声に顔を上げると、五条先生が私の顔を覗き込んでいる。
「浮かない顔してるねー」
「こないだ、恵とお寿司デートだったんじゃないの? なになに、もしかして喧嘩でもしちゃったわけ?」
えっ!?
なんで。
なんで先生が、お寿司のこと知ってるの?
(……まさかっ!?)
ばっ、と勢いよく隣を振り返ると。
そこには、明後日の方向を見て、あからさまに目を逸らしている野薔薇ちゃんの姿があった。
しかも、わざとらしく「ふ〜んふふ〜ん」と口笛まで吹いている。
「あ、あれ〜? なんだか急に西の空が曇ってきたわね! こりゃあ一雨来るかしら!」
野薔薇ちゃんは空を見上げながら、まるで下手な演技みたいにそう言った。
(……野薔薇ちゃんっ!?)
私がじとっとした目を向けると、野薔薇ちゃんはますます視線を逸らした。
そんな私たちの様子を見て、五条先生はへらへらと楽しそうに笑う。