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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


「何よこの服の山。急に断捨離でも始める気?」



私は机の上にあったいつものノートとペンを引っ掴み、急いで文字を書く。



『今日、恵くんと出かけることになったの』



それを見た瞬間、野薔薇ちゃんの瞳にカッと鋭い光が宿ったのがわかった。



「……伏黒と? 二人で?」



コクコクと何度も頷くと、野薔薇ちゃんはニヤリと悪魔的……いや、最高に頼もしい笑顔で口角を吊り上げた。



「なるほどね。……全てを理解したわ」



バチンッ! と野薔薇ちゃんが指を鳴らす。



「要するに、デートに着ていく服が決まらなくて迷走してたってわけね。よーし、そういうことならこの釘崎野薔薇に任せなさい!」



デート。

違う。
違う違う違う。
まだデートって決まったわけじゃない。
ただお寿司を食べに行くだけで。


必死に首を横に振るが、野薔薇ちゃんはもう完全に腕まくりをしていた。



「何よ。好きな男と二人で出かけるんでしょ。ここで張り切らなくて、いつ張り切るの」



そう言って、野薔薇ちゃんは服の山から服を一枚ずつ拾い上げていく。



「うーん……これは無難すぎるわね。こっちはの良さが消えちゃうし……あ、待って。これと、これを合わせれば……」



真剣な目で服と私を交互に見比べた野薔薇ちゃんは、あっという間にいくつかのアイテムを選び出し、バサッとベッドの上に並べた。



「よし、決まり! 今日のは、これでいくわよ!」



野薔薇ちゃんがビシッと指差したその組み合わせは、私ならきっと選ばなかったものだった。

可愛い。
でも、ちょっと恥ずかしい。

これを着て恵くんの前に立つところを想像しただけで、胸がそわそわする。



「伏黒みたいなむっつりは、絶対こういうのが好きよ!」



そうなの?
恵くん、むっつりなの?

よくわかんないけど、自信満々に胸を張る野薔薇ちゃんの笑顔をみていると、私の中に小さな勇気がぽっと灯った気がした。


恵くんに、可愛いって思ってほしい。


私はぎゅっと両手を握りしめて、野薔薇ちゃんに向かって力強くこくりと頷いた。
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