第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**
「…………ッ!!」
ちろり、と舌で転がすように舐め上げると、は俺の腕にすり寄り、こみ上げてくるものに必死に堪えているようだった。
それでも、拒む合図だけは返ってこない。
「……これ、気持ちいいか?」
「……っ、……ッ」
は俺から目を逸らしたが、俺の腕を二度、弱く叩いてきた。
それは、もっと触っての合図。
(自分で決めた合図なのに、それは……反則だろ)
もっと、その合図を返させたくなった。
俺はもう一度、先端を口に含む。
舌先で転がすように舐めてから、ちゅ、と軽く吸い上げると、の唇から、熱い息が途切れ途切れにこぼれた。
その反応を、もっと近くで感じたくて。
背中に回した腕に、思わず力がこもる。
抱き寄せたせいで、俺たちはほとんど隙間なく密着していた。
「……っ?」
不意に、俺の腕を掴んでいたの手に、さっきまでとは別の意味でぎゅっと力が入った。
胸から唇を離し、が見ている方向を見る。
視線を下げて、ようやく気づいた。
硬く張り詰めた俺のそれが、の太ももの付け根あたりに触れている。
は『これ、なに?』とでも言いたげに、完全に動揺しきった顔をしていた。
知識としては知っているんだろう。
けれど、男のこういう反応を直に感じたのは初めてなのかもしれない。
の顔を見た瞬間、今さら自分がどんな状態なのかをはっきり意識してしまった。
落ち着いてるふりをして。
を怖がらせないように、ちゃんと余裕があるように振る舞っていたつもりだった。
でも、そんなものはとっくに剥がれていた。
相手に、平気でいられるわけがない。
俺だって、もう限界に近い。
一気に耳の裏まで熱くなる。
バツが悪くて、なんとなくから視線を逸らした。
「……仕方ねぇだろ」
「俺だって……お前に触って、興奮してんだよ」