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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


𓂃 side:伏黒恵 𓂃



シャワーを浴びて、寮の自室に戻った。
濡れた髪をタオルで乱暴に拭い、ベッドに腰を下ろす。

熱い湯で訓練の汗も、倉庫の埃っぽさも、全部流したはずだった。
それなのに、右手だけがまだ、あの感触を覚えている。


思い出すな。
事故だ。
忘れろ。

そう言い聞かせても、頭の中は勝手にあの瞬間へ戻っていく。


薄暗い倉庫に二人だけ。
冷静なふりをしていたけど、本当はずっと落ち着かなかった。
いつものノートもスマホもなくて、不安そうに俺を見上げるから、目を逸らせなかった。

……可愛い、なんて。
そんなことを思う状況じゃないのに。


俺の上に覆いかぶさってきた、の細く華奢な身体。
訓練終わりの汗に混じって、の匂いがすぐ近くにあった。
すぐ耳元で、乱れた呼吸が聞こえて。

そして何より、この右手に残ってしまった柔らかい感触。



「……っ」



最低だ。
そう思うのに、身体の方は正直だった。
下腹部に熱が溜まって、スウェットがひどく窮屈に感じる。


手のひらを見ていると、が指でなぞった文字が浮かび上がってきた。



「……すし、って何だよ」



『す』――あいつがその一文字を書いた時、もしかしてって思ってしまった。
その続きを考えてはいけないと思うのに。
考えるなと思うほど、勝手に繋がっていく。

もし……が俺を家族でも、幼馴染でもなく。
男として見てくれているんじゃないかって。


ベッドに背中を倒す。
喉がひどく渇いた。
左手で自分の顔を覆って目を閉じるが、の顔が消えない。


(……)


右手が、ゆっくりと下へ落ちる。
スウェット越しに、すでに痛いほど熱を持った自身に触れた。
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